中高生のための英語ブログ

現場の英語で受験勉強

Japan sites get world heritage status after forced labour acknowledgement

軍艦島世界遺産になるかどうかの話に、なぜか絡んできた日韓関係。"forced to work"の意味をめぐって激論、などと訳のわからない記事が飛び交うようなときには、迷わずおおもとの情報源へいきましょう。

この場合はまず、UNESCOサイトへ。しかしここには下記の事実が書いてあるだけ。

The World Heritage Committee approved the inscription of Sites of Japan’s Meiji Industrial Revolution on the World Heritage List.

World Heritage = 世界遺産、committee = 委員会、approve = 承認する、inscription = 記すこと、記入、site = 場所、現場、遺跡

世界遺産の登録」は、「世界遺産リストへの記入を許可する」と表現するんですねー、ちょっと特殊です。普通なら、"approved the registration of..." などとくるような気がしますが。ま、そういう慣習なんでしょう。

で、日韓のごたごたは書かれてないので、英字新聞系を探しましょう。ここではUKのThe Guardianの見出しから。

Japan sites get world heritage status after forced labour acknowledgement.

日本語で「ステータス」といえば何かかっこいいものというニュアンスですが、英語では単に「地位、立場」という意味。"get world heritage status" で、「世界遺産という称号を得る」。

afterより後が今問題になっている箇所。acknowledgement = acknowledge「認める」の名詞形なので、"forced labor"のことを認めたあとで、とあります。

"forced labor"を辞書で引くと、「強制労働」とあります。"forced-labor camp"で、「強制労働収容所」。

では、記事の中身を見てみましょう。

South Korea had opposed the application for world heritage status unless clear reference was made to the use of an estimated 60,000 labourers forced to work at seven of the sites.

oppose = 反対する、application = 申請、reference = 言及

「韓国は(申請されたうちの)7か所における推定6万人の強制労働者の使用に対する明確な言及がなされなければ世界遺産の申請に反対すると表明していた」

unless = if not と覚えましょう。単語帳には「~でない限り」とか訳が書いてあるかもしれませんが、ときに混乱します。

ちなみに、ここの "had opposed" は「大過去」。記事自体、過去のことを書いているので、地の文は過去形。それよりもさらに過去に反対していた、世界遺産の登録が決まる前に反対していた、というわけ。

で、日本のリアクション。

“Japan is prepared to take measures that allow an understanding that there were a large number of Koreans and others who were brought against their will and forced to work under harsh conditions in the 1940s at some of the sites,” the Japanese delegation to Unesco said in a statement.

measures = 手段、take measures で、手段をとる。

allow = 許す、understanding = 理解。2つ合わせて、「理解できるようにする」

against their will = 彼らの意志に反して。

harsh = 厳しい、過酷な。delegation = 代表団。delegate というのは、権限を委任する、という意味。だから、「日本の代表」とみなされるんですね。

英語で世界に発信された情報を見ると、「日本は韓国人(+その他)を、彼らの意志に反して連れてきて、過酷な環境で働かせたことを認めた」と書いてあります。

日本政府がどう言おうと、いまさら「強制労働はなかった」と主張するのは難しそうです。

UNESCOでの議論は英語で行われています。現場では英語が使われている。みなさんも、英語の一次情報にアクセスしましょう。