it wouldn't be long before Mexico's most notorious drug lord was behind bars again
「メキシコ麻薬王またも脱獄」
刑務所の地下に1.6kmのトンネルを掘って脱獄する、というニュースを聞いて、遠い昔に見た名作「ショーシャンクの空に」を思い出したのは私だけではないでしょう。
無実の罪で服役する男性が劣悪な環境にも希望を失わず、20年間小さなハンマー1つで穴を掘り続けてついに脱獄を果たす話ですが、今回のトンネルはおそらく組織のしわざでしょうね。
ちなみに1回目の脱獄は、以下の通り:
He escaped in 2001 from a high-security prison in a laundry cart and was not apprehended again until 2014, when he was arrested at a Mexican beach resort.
laundry = 洗濯物、apprehend / arrest = 逮捕する
洗濯物のカートに隠れて逃げた逃亡犯のわりに、13年後に見つかったのがメキシコのビーチリゾートだ、というところが、緊迫感がなくていいですね。
Authorities said they later discovered a lighted and ventilated tunnel nearly a mile long that stretched from the prison to a half-built house.
authority = 当局、light = (ここでは他動詞で)照明でてらす、ventilate = 換気する、mile = 1マイルは約1.6km、stretch = 伸びる
thatとかwhichの関係代名詞は、よく省略されます。ここでもsaid (that) they... / tunnel (that was) nearly... というふうに。
文の幹は、Authorities said they discovered a tunnel. で、なんとtunnelに以下の修飾がばかばかついてます:
- lighted and ventilated 「照明つきで換気された」
- nearly a mile long 「全長ほぼ1マイルの」
- that stretched from the prison to a half-built house 「刑務所から建てかけの家に伸びた」
これだけ修飾を一語につけるのは珍しいですね。文を一回切って、「そのトンネルは。。」と続けてもよかった気がしますが。英作文とかではそうしましょう。そのほうが間違いが少ないと思います。
しかしトンネルにはご丁寧にも照明や通気孔まであったというから笑えます。ショーシャンクでの脱出劇とは全然違います。下水でどろどろになった主人公のティムロビンスが、外に出て雨に打たれるシーンは感動的でしたが、今回の麻薬王は、手下が運転するベンツにでも乗り込んだのでしょう。
で、表題の構文。
It will not be long before~ = ~するまえの時間は長くない = すぐにでも~するだろう
ここでの"it"は「時間のit」です。It is too late. = 「もう遅いよ」などでおなじみの用法。ここではそれが仮定法で使われてます。
「メキシコでもっとも悪名高い麻薬王がまた牢屋に入るとしたらそれは、そんなに遠い未来ではないだろう」
behind bars = 鉄格子の中で。これは僕も知りませんでしたが、気分でてますね。barの後ろ=牢屋のなか、ってことですね。
この文の"before"以下が、「ifなし仮定法」みたいになってることに注意。"behind bars again"が仮定の条件になって、「もし彼が再び牢屋に入るとしたら」となります。
で、主節の"wouldn't"で仮定法が完結。「それは遠い未来ではないだろう」
仮定法と決まり文句/構文が1つにまとまったおいしい例文です。